Japan Festivalの話題は今回が最終回です。いまや日本文化の代表格「マンガ」と「ロボット」!会場での喝采と盛り上がりが伝わってきます☆
アメリカ企業の社員への姿勢にもご注目。文化や会社組織との向き合い方に、学ぶところが多いですね。
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さて、私がコンサルタントとして関わった、漫画とアニメは、トヨタやホンダ、SONY他が制作した各種ロボットの展示、実演と同じセクションに含まれることになっていました。ちょっと奇妙ですが、ロボットもアメリカ人の目から見ると日本の新しい文化の一部のようです。実際、私も驚くほど愛知万博でも披露された数々のロボットのデモンストレーションは、大変な人気でした。

マンガカフェ形式展示

当初はいわゆる展覧会の企画を依頼されたのですが、同センター内での展示には、ナショナルモニュメントとして内容に関する検閲や展示の内容に関しての制約がある上、フランス人の展示デザイナーの意向より、いわゆる会場内に展示するための壁やケースを作らないというポリシーがありました。これまでもいろいろな展覧会に関わりましたが、これまでで最大に制約の多いプロジェクトでした。それでもセンター側と検討を重ねた結果、いわゆる展示でなく、漫画家自身が漫画制作をデモンストレーションすることと、漫画を読むことができるいわゆるカフェのようなものを設置することを柱とすることにしました。

漫画は、ヴィジュアルアートでもありながら、文学でもあります。だから、読んでもらわなければ漫画の面白さはわかってもらえない。日本でよくあるいわゆる原画の展示は、漫画そのものを知っているからおもしろいのであり、はじめて見るアメリカ人には、意味が無いというのも、センター側の意見でした。今回のフェスティバルの観客はいわゆるコミックフェアーに来るコアの漫画やアニメファンは少なく、初めて漫画を見る人が多いという話です。

ロビン西さん

そこで、漫画家に現場でフェスティバルの様子を新作漫画にしてもらう、という案を出しました。この案が受け入れられ、私は、現役の漫画家であるロビン西さん(あの「MIND GAME」の原作者です。私は「MIND GAME」の大ファンで、以前もこの漫画の原画の展覧会を開いたことがあります。読んでない方は是非読んでください。すごい漫画です!!)にお願いすることにしました。ロボットコーナーの隣に、彼の作業場を設置して、デモンストレーションのようにしてフェスティバルを素材にした漫画「Chronicle of Japan Festival」を制作していただくことにしたのです。

Chronicle of Japan Festival

フェスティバル開催中の2週間、週日の午前中は、ほぼ毎日教師に連れられてやってくる地域の子供たちを相手に簡単な漫画の説明を行い、週末には子供達が漫画を描くワークショップも実施しました。その場に行くまで、私もロビンさんも、多少の不安があったのですが、結果として大成功でした。フェスティバルの観客は想像以上の数だし、とても落ち着いて展示を見るような環境ではなかったのです。子供たちに優しく、辛抱強く丁寧に接してくれたロビンさんの人柄と短期間に漫画を制作する彼の能力によるところが大きかったのですが、彼が制作したフェスティバルをテーマにした漫画も大好評。
大きく引き伸ばされて、隣のカフェテリアに行く通路に飾られ、フェスティバルのつぼを押さえたシーンは、多くの観客、またスタッフの賞賛を浴びることとなりました。毎日、朝から会場に来て、夕方のパフォーマンスの取材の時間まで根気強く漫画を描き続けてくださったロビンさん、本当に感謝しています。彼も超一流のイベントの全てを鑑賞することができ、海外でいい経験が出来たと喜んでくれたし、フェスティバル担当の副館長のアリシアからは、最高の選択だったと喜んでもらったので、作家の協力があって、コンサルタントとしては、まずはホッとしたわけです。

日本のアニメ紹介については、友人であるスタジオ4℃社長の田中栄子さんの協力を得て、スタジオ4℃渾身のオムニバスアニメシリーズである 「Genius Party」のアメリカ初演と続編の「Genius Party Beyond」の世界初演を2日間にわたって開催することにしました。これらの作品に含まれる日本のアニメの質はどれも高く、実に多様で、個性的です。日本のアニメのショーケースとなりました。日本からは、これらの映画を監督された 森本晃司、渡辺信一郎、前田真宏という日本を代表するアニメ作家がワシントンDCに招聘され、それぞれのプレミアは彼らのオープニング・トークで幕を開けました。
3名の監督さんたちが、何より喜んだのは、DCの観客の素直な反応でした。これは私自身も常日頃感じることですが、欧米の人々は作品を見た反応をそのまま表します。いい作品であれば、拍手喝采になるし、つまらなければ上映中でもブーイングが出るし、また、おもしろければ、声をたてて笑います。反応がリアルなのです。

上記2つの映画に対して、DCの観客は拍手喝さい、時に大笑い、時に涙を流してくれました。また、監督たちはアメリカにおいてもスターであり、上映後には、サインを求める長蛇の列ができたのを見て、私も改めて、アメリカにおける日本のアニメの実力と人気を確認することとなったのです。日本の漫画、アニメの人気。それは、本当にすごいものです。
私は、アメリカの友人とコンビを組んで、ハリウッドに日本の漫画やドラマを映画の原作として紹介する仕事もしているのですが、アメリカ人の日本の漫画、アニメに対する感心の高さを真のあたりに見て、その人気が本物であることを実感することとなりました。

DCでのフェスティバルが成功裏に終了した翌日、私は、一路NYに飛びました。というのは、フェスティバルのスポンサーであるモルガン・スタンレーが、同社の本拠地であるNYCでフェスティバルの一部として、プレミア上映された上記作品からセンターが選んだ3作品を特別上映することになっていたからです。会場は、NY市のトライベッカにあるTribeca Grand Hotelのホールです。このスペシャル・NYプレミアに招待されたのは、同社のIT関連部署の社員たちです。企業のトップはもちろん、DCのフェスティバルそのものに招待され、オープニングにも出席していますが、一般の社員がDCまで足を運ぶことはできません。そこで、同社は、これらのアニメ作品を社員のための文化イベントの一環として上映することを希望したのです。
シアターのキャパシティーから上映は2回に分けて行われ、上映に先立って、カクテルパーティーが開催されました。シャンパン、ワイン、オードブルの簡単なものですが、おしゃれなホテルでシアターを貸しきって社員のためにプレミア上映会を開催する企業の心意気に私は感銘を受けました。何でも、同社は、文化支援に熱心であり、支援先となる各々の文化イベントに関連して、社員のための特別イベントを開催し、社員はそれぞれ興味のあるものに参加することができるとのことです。プレミア上映に集まったの数百名の金融のプロ達は、アニメファンもいれば、日本のアニメ作品を見るのは初めてという人まで様々。しかし、皆一様に、いい会社で働けてラッキーと思っていることが会話から伺い知れました。

日本の企業も1990年頃よりメセナ(文化支援)活動をしていますが、社員がそれらの文化芸術イベントを体験することにここまで気を使っている企業を私は知りません。企業メセナのあり方として、モルガンスタンレーのように自らの社員の文化体験を助長するそのような形はとても重要だと感じます。つまり、社員がそのような体験を通して、芸術のすばらしさを知り、芸術やアートのファンになっていく。これは、日本の企業にも是非まねてもらいたいメセナ活動ではないでしょうか。

さて、NYCでのプレミアも大好評でした。観客の多くは、日本のアニメは、子供向けのものと思っていたようで、今回のような大人のエンターテイメントはとても新鮮に感じられたようです。また、その内容と技術の高さに対しても高く賞賛の言葉が寄せられました。
DCでのフェスティバル、そして、NYCでのイベントを無事終えた翌朝、ホテルの外は一面の雪景色。NYC発DC行きの飛行機は、積雪のため、出発が一時間半も遅れたものの、なんとかDC発日本行きの飛行機に乗り込むことができました。2年間近い準備を経て、いろいろあったものの、結果としては、いい経験をさせてもらったと感じています。そして、日本にいても、なかなか知ることのない、日本の様々なすばらしい舞台芸術に触れられたのも収穫でした。これら私が見た舞台芸術については、また別途いつか、お話できればと思います。

次回は「アーツアライブ・コンサート」のお話です。お楽しみに☆